僕は時々「なれなかった自分」について考えることがある。昔、自分が思い描いたような大人には残念ながらなれそうにない。

ファウストに限らず、あらゆる取引は全て悪魔の取引だ。それがどれほど小さい取引で、どれほどその影響を意識したかに関わらず、結果として得るものと失うものは、全て自分で背負わなければならない。音楽についてもそうだ。

現実的には全ての物事を二元論に還元する事は難しい。それが故に生じる曖昧さは、時に人を惑わせるが、同時に安心感を与える落とし所も提供する。形ある物体に裏と表を定義できるように、曖昧さとは、人々に妥協と調和を同時に与えるのだ。