2月 01日 正岡子規のガラス障子とル・コルビュジエの窓についての考察
少し前に新聞を眺めているとセンター試験の現代文がたまたま目に入った。内容は、柏木博氏の『視覚の生命力―イメージの復権』の抜粋文(文章I)と呉谷充利氏の『ル・コルビュジエと近代絵画――二〇世紀モダニズムの道程』の抜粋文(文章II)を比較したものだったが、実に興味深かった。
少し前に新聞を眺めているとセンター試験の現代文がたまたま目に入った。内容は、柏木博氏の『視覚の生命力―イメージの復権』の抜粋文(文章I)と呉谷充利氏の『ル・コルビュジエと近代絵画――二〇世紀モダニズムの道程』の抜粋文(文章II)を比較したものだったが、実に興味深かった。
ダブリナーズという小説がある。ユリシーズで有名なジェイムズジョイスによる短編集だ。1882年生まれのジョイスが、この短編集を1914年に正式に発表されるまでに10年近くを要したというのだから、初版を書き終えたのは20代前半ということになる。当時のアイルランド社会というか世相についての分析をストーリーテラーとして巧みに構成する技量を、その若さで持っていたという事でも、やはり歴史に残る卓越した作家というのがよくわかる。
2022年9月から京都でアンディ・ウォーホルの展覧会「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」がスタートしたということで、いくつかの雑誌で彼の特集が組まれている。
山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角かどが立つ。情に棹させば流される。意地をとおせば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。夏目漱石『草枕』の有名な冒頭部分の文章だ。ほれぼれするほど美しい。同じ趣旨の内容を考える人がいたとしても、このように美しい文章で表現することは難しい。真に優れた作家は、そのストーリーもさることながら、表現する美しい文章を綴るものとしても、優れた表現者なのだ。