4月 21日 地名と文化と経済について。代官山のこと、鎌倉のこと。 Posted at 18:29 in default Share 都心では交通の便が良いのと、歩いていても大抵の場所で高い建物に視界がおおわれるがゆえに、大まかな地形を把握することは容易ではない。しかしながら、「名は体を表す」というように、地名には地形や歴史が残されている。渋谷という「谷」から宮益坂という「坂」を上ると青山という「山」にたどり着く。丸ノ内線で新宿から銀座に向かう地下鉄線が四谷駅付近で地上にでるのは四谷がその名の通り「谷」だからだ。 Read More
4月 10日 分断された世界の接点、PERFECT DAYSがスポットライトをあてた部分とその影の部分について Posted at 18:12 in default Share エッセンシャルワーカーの人々が実際にどのような人となりで、どのようなライフスタイルで生きているかを、とかく意識しないしないですむということは、それ自体幸福なのか不幸なのかはわからない。作品中に、主人公が言っていた通り、一つの世界が全ての人に共有されているように見えていても、実は無数に分断された世界がそれぞれの接点を最小化するように共存しているにすぎない。幸福か不幸かはわからないにせよ、人々が望んで実現された現実なんだろうとも思う。 Read More
1月 27日 夜の瞑想のジャズピアノ Posted at 18:02 in default Share 最近、繰り返し聴くアルバムがある。Brad Mehldauの「Your mother should know」、主にビートルズの曲をカバーしたライブアルバムだ。Brad Mehldauは最も偉大な現代ジャズピアニストの一人で、Pat Methenyとの共演などでも話題になり、日本にも何度か来て演奏している。そのうちの一つは「Live In Tokyo」というレコードにもなっている。 Read More
2月 01日 正岡子規のガラス障子とル・コルビュジエの窓についての考察 Posted at 21:28 in default Share 少し前に新聞を眺めているとセンター試験の現代文がたまたま目に入った。内容は、柏木博氏の『視覚の生命力―イメージの復権』の抜粋文(文章I)と呉谷充利氏の『ル・コルビュジエと近代絵画――二〇世紀モダニズムの道程』の抜粋文(文章II)を比較したものだったが、実に興味深かった。 Read More
11月 23日 2022年ノーベル文学賞受賞したアニーエルノーについて Posted at 20:06 in default Share ダブリナーズという小説がある。ユリシーズで有名なジェイムズジョイスによる短編集だ。1882年生まれのジョイスが、この短編集を1914年に正式に発表されるまでに10年近くを要したというのだから、初版を書き終えたのは20代前半ということになる。当時のアイルランド社会というか世相についての分析をストーリーテラーとして巧みに構成する技量を、その若さで持っていたという事でも、やはり歴史に残る卓越した作家というのがよくわかる。 Read More
11月 13日 アンディ・ウォーホルに辛辣だった草間彌生 Posted at 17:29 in default Share 2022年9月から京都でアンディ・ウォーホルの展覧会「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」がスタートしたということで、いくつかの雑誌で彼の特集が組まれている。 Read More
1月 05日 シュペートブルグンダーの言葉が帯びる形而上学的色彩 Posted at 20:38 in default Share ソムリエ界隈の閉ざされた世界おいて、ドイツのピノノアールはピノノワールと説明してはカッコ悪いという、不思議な常識が成り立っている。ドイツのピノノワールはシュペートブルグンダーと説明しなくてはいけない。所謂、ピノノワールだと後から回り道で説明する必要があったとしても、シュペートブルグンダーと声に出して言わなくてはいけないのだ。 Read More
10月 23日 とある映画の裏話と月夜に流すレコードについて Posted at 15:26 in default Share 「チャーリーとチョコレート工場」という映画を見たことはありますでしょうか?ロアルド・ダールが1964年に発表したイギリスの児童小説「チョコレート工場の秘密」をベースにティム・バートンが監督、ジョニー・デップが出演した2005年発表の作品です。この映画にはいくつかの狂気的ともいえる裏話があります。 Read More
8月 27日 そうめんを食べながら谷崎潤一郎を読む。小説と料理のマリアージュについて Posted at 20:19 in default Share 山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角かどが立つ。情に棹させば流される。意地をとおせば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。 夏目漱石『草枕』の有名な冒頭部分の文章だ。ほれぼれするほど美しい。同じ趣旨の内容を考える人がいたとしても、このように美しい文章で表現することは難しい。真に優れた作家は、そのストーリーもさることながら、表現する美しい文章を綴るものとしても、優れた表現者なのだ。 Read More