何でもかんでも自動化すればいいという風潮に単純には同意できない。

僕はテクノロジーを崇拝している。テクノロジーは生活を便利にするだけでなく、より豊かで文化的なライフスタイルを可能にしてくれる。もちろん、あらゆる全ての問題を解決してくれるほど万能ではないし、時には人を傷つけることに利用されたりもする。しかし、享受してきたメリットに比べれれば、十分にお釣りがくると僕は自信を持って断言できる。

しかしながら、何でもかんでも自動化すればいいという風潮に単純には同意できない。手間をかけたほうがいいことだってたくさんあるのだ。そう。そのとおり。僕が言いたいのはトイレが自動的に流れる機能のことだ。

 

もちろん僕は日本のトイレ全般についてはとても誇りを持っているし、その機能についても流す手間を省けるというメリットがあるのは確かだ。だが、それを上回る大きなデメリットが思いつくだけで二つある。一つは余計なタイミングで流す事によって水を余分に使うこと。そして、もう一つは、自動化に慣れてしまうことにより流し忘れるリスクを増幅させてしまうことだ。

海外のタクシードライバーは日本人は異様なほどにドアを閉め忘れるという印象をもっているのだという。日本ではタクシーのドアの開閉が自動化されているため、ドアを閉めるという習慣が薄れているのだ。もし、トイレを流すという意識が希薄化されたとしたら、どうだろう。考えただけで目も当てられない。

Tom「Hello, Sam. How about Kenji? (ヘイ、サム!調子はどうだい?そういえば、この前来てたイカした日本人がいたろ。ああ、そうそうケンジだ。あいつは最高だよな。やることなすこと、いちいちウィットに富んでるなんだから、はは、まったく参るよな。)」

Sam「He is shit.(ああ、ケンジかい?あいつは最悪だよ。たしかに最初はいいやつだと俺もおもったさ。だが、はっきり言うと奴はクソだね。そんな顔する気持ちもわかる。俺だって信じられないよ。)」

Tom「Why is he shit?(いったい何故なんだい?どうしたって言うんだ?彼に何があった?あんな礼儀正しくて、クールな奴なんてほかに見たことあるかい?なんてったって仕草がいちいち優雅じゃないか。」

Sam「Because he doesn’t flush. (やつは、輝いてないんだよ。じゃなくて、トイレを流さないんだ。そんなことってあるかい?いくら仕草が優雅でも台無しってやつさ。目も当てられないよ。)」

僕はトムもサムもがっかりさせたくない。だから、必ずトイレを流すクセは忘れない。やることなすこと、いちいちウィットに富んでる日本人。それが僕なのだ。