音楽は魔法なんだと僕は思う

僕は音楽を愛している。

音楽は季節に彩を与え、情景を豊かにし、人を幸せな気持ちにさせ、時に悲しみから救ってくれる。

最近僕が特に気に入っている音楽は、スーパーで流れているチキチキバンバン的なBGMだ。スーパーであの軽快な音楽が流れていると、だんだんと浮き足立ってきて、行進するかのようにリズミカルな買い物ができる。音楽は魔法なんだと僕は思う。

ところが最近、何かの記事で、驚くべき事実を知ってしまった。スーパーであのような軽快な音楽を流すのは、お客さんにリズムよく買い物をさせるための作戦なんだそうだ。なんと僕はそれにまんまとハマってしまっていたのだ。

僕は自分がそういった大衆を洗脳するような作戦に簡単に引っかかるような軽い人間ではない、と無根拠に信じていたので、その事実は僕のプライドを傷つけた。僕はずっと騙されていたのか?うそだろ?

その感情は複雑なものだった。怒りではなく悲しみだった。自分の音楽に対する純粋な愛を、故意に利用されたのだと思うと、とても深い悲しみにおそわれた。自分の中にある大切な何かが、知らない誰かにそっと盗まれてしまったような行き場のない喪失感だった。

そんな沈んだ気持ちから自分を救済するため、僕はスーパーに向かった。おでんでも買いに行こう。そしたら、あの軽快な音楽が僕をまたご機嫌にしてくれるはずだ。音楽は時に深い悲しみからさえも僕らを救ってくれる、本当の魔法なんだと僕は思う。