music barオーナーが考える、結局、音がいいとは何なのか?アナログレコードはどのようにつくられるのか?

録音された音楽がレコードになるのまでには、どのようなプロセスになっているのだろうか。

アナログレコード

アナログレコード

 

 

 

CDなどのデジタル音源は、レコーディング後マスタリングした音源をそのままデジタル処理して使うのに対し、アナログレコードはそこからさらにカッティングとプレスという2段階のプロセスが必要だ。特にカッティングはとても重要で、これがうまく行ってないレコードも少なくない。

以前、レコードはデジタル処理されてないがゆえ情報が多いため、CDよりも音がいいと述べたが、それはカッティングがうまくいっているという前提でだ。勘違いしている人も多いようだが、同じ曲であれば常にCDよりレコードのほうが音がいいわけではない。好きな曲のアナログ盤を手に入れて、ワクワクしながら再生してみたら音が悪くてがっかりした、という経験をした人はかなり多いのではないだろうか。

レコードは針が通る溝の揺らぎを電気信号に変換し、アンプで増幅後、スピーカーが空気振動に再度変換して、音楽が流れるようになる。カッティングとはレコーディングされた音から、レコードの溝を作る作業だ。実はこれは自動的に行われるわけではない。エンジニアが、音楽の内容、高低音のピークを理解し、音圧の調整や低域の逆相確認して溝の間隔を調整しながら進める高度な技術の手作業が必要だ。レコードの音質はカッティングエンジニアの腕次第で大きく変わる。

エンジニアがカッティングしてできるラッカー盤を元に、メタルマスター、メタルマザーを通じてスタンパーが作成され、プレスを量産する。これらは消耗品なので、プレスするごとに劣化してしまう。オリジナル盤が再プレス盤よりも音がいいのは、このためだ。オリジナル盤のレコードが高価なのは、単なる骨董趣味的な希少価値の高さだけではない。音にこだわる人ほど、オリジナルに近いレコードに買い替えている。

また、レコードは、回転が速い方が、内側より外側のほうが情報量を多くできるので音を良くすることができる。なので、レコードを収録する曲順はデジタル音楽に収録するよりもずっと重要な意味を持つ。A1やB1にメインの曲や音圧が高い曲を置く傾向にあるのは、視聴を意識したこともあるだろうが、音の良さをエンジニアが考慮したというのもあるはずだ。

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では、音源を、うまくカッティングされたオリジナルに近いアナログレコードにして、十分な再生域のあるスピーカーで聞けば、音は良くなるのだろうか。残念がら話はそこまで単純ではない。

(つづく)