ヴァンナチュール

A「うちのオカンがね、好きなお酒があるらしいんやけど。」
B「そーなんや。」

ヴァンナチュール

ナチュラルワイン

 

A「その名前をちょっと忘れたらしくてね。」
B「お酒の名前忘れてもうて、どうなってんねそれ?」
A「でまあ色々聞くんやけどな。全然分からへんねんな。」
B「分からへんの?ほな俺がね、おかんの好きなお酒、ちょっと一緒に考えてあげるから、どんな特徴ゆうてたかってのを教えてみてよ。」
A「化学肥料や除草剤を避けて育てたぶどうを材料にして、酸化防止剤として亜硫酸塩をなるべく使わないで作ったやつって言うねんな。」
B「ヴァンナチュールやないかい。その特徴はもう完全にヴァンナチュールやがな。」
A「ヴァンナチュールなぁ。」
B「すぐ分かったやん、こんなんもー」
A「でもこれちょっと分からへんのやな。」
B「何が分からへんのよー?」
A「いや俺もヴァンナチュールと思うてんけどな。」
B「いやそうやろ?」
A「オカンが言うには、女子大生に大ブームって言うねんな。」
B「うーん、ほなヴァンナチュールと違うかぁ、ハタチそこそこの女の子が最初に好きになるお酒がヴァンナチュールでええ訳ないもんね。」
A「そやねん。」
B「ヴァンナチュールはね、結婚をあきらめて犬を飼おうか考え出すOLになって初めて飲むお酒やからね。」
A「そやねん。」
B「ヴァンナチュールってそういうもんやから。ほなヴァンナチュールちゃうがなこれ。」
A「そやねん、そやねん。」
B「あれほなもう一度詳しく教えてくれる?」
A「たまに出汁と間違えてしまうらしいねん。」
B「ヴァンナチュールやないかい!ヴァンナチュールの白にはね、色も味も出汁みたいなもんがあるからね。あれに醤油たらせば、そばも食えんのやから。ヴァンナチュールやそんなもんは!」
A「分からへんねんでも。」
B「何が分からへんのこれで?!」
A「俺もヴァンナチュールと思うてんけどな。」
B「そうやろ?」
A「オカンが言うには、どんな食事にも合うって言うねんな。」

B「ほな、ヴァンナチュールちゃうやないかい!ヴァンナチュールの作り手はね、基本、食事に合わせることなんて考えてないねん。ヴァンナチュールはね、マリアージュは諦めて、もう独身貫いて犬と生きていこうって決めたんやから。だから、たまに犬みたいな匂いするねん。」

A「そやねん。」

B「ヴァンナチュールちゃうがな。ほな、もうちょっとなんか言ってなかった?」
A「エチケットふざけすぎてるらしいねん。」
B「ヴァンナチュールやないかい!ヴァンナチュールはね、高級レストランでてきたら台無しのエチケットにしてんやから。あの絵はね、絵の下手な人間か、絵のうまい犬かどちらかが描いてんねん。そういう芸風やねんから、ヴァンナチュールは。」
A「分からへねんだから」
B「なんで分からへんのこれで」
A「俺もヴァンナチュールと思うてんけどな」
B「そうやろ」

A「でもオカンが言うには、ヴァンナチュールではないって言うねん。」
B「ほなヴァンナチュールちゃうやないかい!オカンがヴァンナチュールではないと言うんやから、ヴァンナチュールちゃうがな!」
A「そやねん」
B「先ゆえよ!俺が独身ディスってるみたいになってる時どう思っててんお前!?」
A「申し訳ないよだから。」
B「ホンマに分からへんがなこれ、どうなってんねんもう!」
A「んでオトンが言うにはな。」
B「オトン?」
A「ソルティードッグちゃうか?って言うねん」
B「いや絶対ちゃうやろ!もうええわー」
A&B「ありがとうございましたー」